【キリンビール高知支店の奇跡感想】ビールは味ではなく情報を買うということ。

どうも、しょーへいです。

 

 

 

今回は「キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)」を

紹介していきます。

 

 

僕は1時間くらいでこの本を電車の中でさらっと読み終わったので

すごく読みやすいです。

 

あとは要点が読んでいてわかりやすいですし、

具体的な事例が満載なのでどれも臨場感があって面白いです。

 

 

例えば

高知県民の心を刺激した効果的なポスター広告の話はとても面白かったし、

細かく丁寧に記述されていて勉強になることばかりでした。

 

 

今日言いたいことは本当に1つです。

ビールは味ではなく情報を買うということ。

 

 

これに関しては後ほど説明していきます。

ではでは早速内容に入っていきましょう。

 

 

 

 

 

この本で語られてる物語は簡単にいうと、

キリンとアサヒのビール市場における競争です。

 

 

不動のトップを築いてたキリンのラガービールは、

アサヒがスーパードライを出したことがきっかけで

シェアをどんどん奪われていきます。

 

 

特に高知支店はキリンが大苦戦してるエリアで、

この本の筆者は左遷に近い形で高知に飛ばされます。

 

しかしそんな窮地を最終的には見事に乗り越えます。

ではどうしてそうなったんだ?というのがこの本を通してずっと語られています。

 

詳しいあらすじは下に引用しておきます。

 

 

わたしが勤務していたキリンビール株式会社は1907年に誕生し、
高度経済成長が始まる1954年に国内シェア1位の座に着きました。

そこから長らく「ビールはキリン」という時代が続き、
1972年からはシェア60%という王者の座を長い期間守ってきました。

しかし、1987年にアサヒビール株式会社が「スーパードライ」を発売したことから、
売り上げは急落します。

結果、2001年にはシェア40%を割り込み、
ほぼ半世紀ぶりにトップの座をアサヒビールに明け渡すことになりました。

キリンがスーパードライの波に飲み込まれつつあった1995年に、
45歳だったわたしは社内で代表的苦戦エリアといわれた高知支店に支店長として赴任しました。

そして厳しい闘いの末、2年後には高知支店の業績は反転し、
高知県においてアサヒビールからトップシェアの座を奪い返すことができました。

 

 

ちなみに当時高知県のシェアは2位からトップになりましたが

その時ちょうどキリンの国内シェアは1位から2位に転落して

現在もアサヒが39.2%キリンが32.1%という状態になってます。

 

 

で、話を戻してキリンがアサヒに追撃された理由は大きく分けて2つです。

・ラガービールの味を変えて個性をなくしたこと

・ずっとキリンが殿様商売していて営業力が低下してたこと

 

 

 

まず1つ目の方から、

これについては引用した方がわかりやすいので載せます。

 

 

 

1996年4月、逆風が吹きました。
それもライバルメーカーの攻勢からではありません。

日本で長年にわたりトップブランドであるラガービールの味が変わり、
売り上げが急落したのです。

まだスーパードライよりラガーのほうが売れてはいたのですが、
スーパードライの勢いのすごさに危機感をもった本社が消費者意識調査をすると、
ラガーには「苦い」「古い」といったイメージが強く、
このままでは若い人たちが離れていくのではないかという結論が出ました。

その弱点を補強しなければと、飲みやすさのある味覚への方向転換を決めたのです。
広告も若者を意識したものに変わりました。


2月の発売から最初の2か月こそ好調でしたが、
その後、転がるように低迷していきました。

これまでのラガーファンは
「苦みもコクもなくなり、ラガーさしくなくなった。これなら人気のスーパードライにしようか」と言い、

狙っていた若者や女性からは
「ラガーが飲みやすくなったからといって今飲んでいるスーパードライを変えることもない」
と判断され、狙いは外れました。

当時マーケティングの教材にのったほどの失敗です。

 

 

まさしく時代の流れに翻弄されて既存のファンの信頼を失い、

自爆した典型的なパターンですね。

 

 

これってAKBやももクロみたいなアイドル業界でいうなら

AKBが今まで自分たちの握手会に来てくれたりCD買ってくれるファンたちは全く無視して、

 

ももクロからファンを奪ってくるために

今までとは路線変更してももクロのパクリをして

これまでの個性が消滅し、元々のAKBファンが絶望するという愚策です。

 

 

アイドルに置き換えて考えてみれば

このような残念な結果が出ることはやる前から明らかだったはずですが、

 

それまでトップであぐらをかいてて余裕かましまくってたキリンは

急に追撃されてパニックになってたんでしょうね。

 

 

で、次に2つ目。

キリンが殿様商売してて余裕かましてたから

営業力が弱くなってシェア奪われたのは事実なんですが、

問題の本質はそこではありません。

 

 

本質はどうしてキリンはもともと

他社がどんなに新商品を出しても揺るがずに不動のトップでいられたのか?です。

 

 

競争が激しいはずの業界で

どうしてそこまで余裕で構えていられたのか?

これにはビール市場のとある特徴が大きく関係してるんです。

 

 

それはビールを買う人は味ではなく情報を買う

ということです。

 

 

実際にいろんな人に聞くと

ビールに味の大差なんてないとほとんどの人は

アンケートで答えてるそうです。

 

 

これは簡単にいうとブランドで人はビールを買うという意味です。

味なんて本当は気にしてないんです。

 

だから周りが新商品を出そうが1位には基本影響が出づらいんです。

 

 

とりあえず

見た目が美味しそうだから。

人気があるから。

といった理由で人は買ってるんです。

 

 

 

キリンのビールが美味しいから買ってたのではなく、

キリンのビールがスーパーで目立つところに置いてあったから

買ってたのが事実だということです。

 

 

ではどうやってスーパードライが巻き返したのかというと

やはり味ではなく情報を支配することに成功したに過ぎないんです。

 

 

またもう一つ大事な概念があります。

 

ビールというのは大衆嗜好品で

限られた「点」で飲まれてるのではなく

広い「面」で飲まれてるということです。

 

 

これはビールを飲む場面を想像すれば

すぐにわかるはずです。

 

老若男女が飲んでいて

場所も家や店、公園、海や銭湯

あらゆるところで飲まれるのが他のお酒とは決定的に違います。

 

 

ワインや日本酒が飲まれる場面を想像すればわかるはずです。

 

そして大衆が好むということは口コミや評判が与える影響力が強い。

ということも如実に表してるのです。

 

 

例えば温泉施設にアサヒしか置いてなかったら、

必ず風呂上がりに飲む人が多いでしょう。

 

またそれを毎日続けたら舌がだんだんその味に慣れていきます。

周りもアサヒはさっぱりしてて美味しいなぁと話のネタにもなります。

 

 

すると酒屋に行っても家で飲むにしても

自然とアサヒを飲むようになり

それ以外を全く飲まなくなるんです。

 

それからニュースでアサヒがキリンを抜いたと報道があれば

その勢いはどんどん加速していきます。

 

売れてる=美味しいと考えますからね。

アサヒはこのスパイラルに乗ってシェアを大きく伸ばしました。

 

 

これに対してキリンは今まで自分たちは

ブランドに大きく依存してたことを気付かされます。

 

 

アサヒの評判が良くなっていくと

量販店や居酒屋にキリンをおいてください!と

必死にお願いしても相手にしてくれないからです。

 

 

量販店にとっても居酒屋にとっても

消費者が喜ぶビールを置きたいので基本アサヒスーパードライ以外

選択肢がないのです。

 

 

こうなると巻き返すのは非常に難しいです。

次第に日本人の舌がスーパードライを好むようになるからです。

 

このようにしてキリンは窮地に立たされてしまったのです。

 

 

と、ここまではビール市場について話してきましたが、

次からはどうやってシェアを奪い取ったのかです。

 

 

まずはこの広告をじっくり見てください。

 

 

 

これはキリンが出した起死回生の広告戦略です。

 

元々キリンは全国向けの広告が人気がなくて

キリンの商品に関心を向けるということができてませんでした。

 

 

高知県民の人はほとんどもうアサヒ信者になっていて、

どうやったらキリンの魅力を知ってもらえるかキリン高知支店は常に考えてました。

 

 

そして考えに考え向いたその結果がエリアメディアという手段でした。

つまりは高知の人限定で刺さるメッセージを広告に載せようとしたのです。

 

 

それまでビール業界ではエリア広告というものを出したことがなくて、

本社からは一旦断られたのですがなんとか予算を出してもらって

あの広告を出したのです。

 

 

で、このエリア広告は結果的に成功を収めます。

 

それは高知県民のリサーチを綿密に行い、

ひょんなことから「高知が、いちばん。」というコピーが生まれて

それは高知の人に刺さったからです。

 

 

「高知が、いちばん。」になった理由は

とある高知出身の女性社員の一言がきっかけです。

 

 

「どうしたら高知の人はキリンビールを飲んでくれるのだろう?」

という話になった時に、

 

「高知の人は自慢のうんちくを語りながら飲むのが好きなんですよ。

何しろ”いちばん”が好きなんです。」

と、女性は答えたのです。

 

 

そこで何かしらキリンに関して高知が1番のデータはないか?

と必死に探し回った結果、

「ラガーの瓶ビール消費量」が全国1位だったのです。

 

 

そしてこの広告は反響を呼びます。

 

本来ラガーの消費量が1位だったとしても

お客さんにはなんのメリットもありません。

 

 

でもこれがきっかけで、

キリンがそんなに売れてるならまた飲もうか!とか

日本一飲まれてるなら買ってやろう!みたいな雰囲気が

市場には広がっていったのです。

 

 

それから営業するにしても

店の人とこの広告に関して話すきっかけになったりして

話のネタができれば契約が取れたりすることにもつながりました。

 

高知県民の1番が好きという県民性を刺激したことで

このエリアメディア戦略は大成功を収めたのです。

 

 

結局キリンは情報を支配して、

このあとは再びトップに返り咲くことになります。

 

 

その後この高知支店の戦略は全国でも

やっていかねばという運動が広がっていきます。

 

全国から高知支店に研修に来たり、

四国では高知のやり方をそのまま伝授するのではなくて

それぞれの県の特徴をリサーチした上で戦略を組みたてたり。

 

 

例えば徳島ではコンビニを攻略していきます。

 

コンビニは1店舗あたりの売り上げが少ないのと

店舗数が多いので直接訪問するということをやってませんでした。

 

ただ多くの人が目にする場所ではあるので、

少量でも置いてくれないか?と交渉していきます。

 

 

ただ昼間に働いてるのはアルバイトだったりするので、

営業に行っても商品を扱う裁量がないので商談ができません。

 

じゃあいつになったらオーナーと商談できるのかというと

深夜の時間帯です。

 

 

深夜はアルバイトを確保できず人手が足りないので、

オーナーが直々に店を回すことが多かったらしいです。

 

 

だいたい深夜の12時から4時くらいを狙っていくと

普段は深夜に営業が来るなんてありえないのでオーナーが話を聞いてくれます。

 

 

結果的に店に並べてくれることが多くなり、

売り上げ自体は多くなくても目立つところに置いてるので

キリンは頑張ってるんだな!という印象を地域の人に持たせることができたのです。

 

 

ここまでいろんなエピソードを話して来ましたが、

いかにビールという市場が味よりも情報に力を入れてるか

が伝わったかと思います。

 

 

考えてみればビールのCMは

芸能人やスポーツ選手の中でもトップクラスな人が

出演してるケースが多いです。

広告費をかなりつぎ込んでる証拠です。

 

 

裏を返せば味にまつわることなんて強調されてません。

有名人がうまそうにビールを飲む。

たったこれだけです。

 

 

また僕はどこか旅行に行くたびに

クラフトビール(地ビール)がないか探してしまいます。

 

それは確かにクラフトビールが飲みやすいという側面も

全くなきにしもあらずなのですが、

根本的にはこの地域にしかないという希少性という名の情報を

気づいたら好んで買っていたというのが正解でしょう。

 

 

あとはプレミアムモルツも

確かに飲みやすく感じる部分もあるけど、

1番はあのデザインが高級感と相まって

顧客満足度をあげてることに他ならないです。

 

 

要は味で満たされてるわけではないということです。

そう、今思い返してみると味なんて本当に気にしてないんです。

 

 

僕は多分目をつぶって複数のビールを飲み比べても

おそらく味に関してはほとんど見分けがつかないと思います。

 

 

だからこれからビール飲む時には

このビールにはどういう情報が組み込まれてるから

付加価値が上がってるのかという視点で観察していきます。

 

 

めっちゃ面白そうですね笑

ビール以外の他の市場でもやらねばって感じです。

 

 

情報を買うという概念は決してビールだけの話ではないです。

 

 

ブランド品と呼ばれるものは全て情報が肝です。

だってヴィトンとかシャネルとか

どう考えても原価の何倍もの値付けがされてますからね。

 

 

というわけでこの本読んだら

日常生活を視るフィルターがだいぶ進化したので

普通にワクワクして来ました。

 

学べば学ぶほど退屈とはかけ離れた世界に行けるので

僕は素直に楽しいです。

 

 

また面白いこと知ったらブログで発信していきますね。

 

 

今回は以上です。

ありがとうございました。

 

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1 個のコメント

  • 機能性がほとんど変わらないビールでも、
    情報によって売れている事実から、
    他の商品でも情報によって売れるんだなーって思いました。

    ビール以外にも情報で売れている商品があるんじゃないかと考え、
    手元に、エナジードリンクがあったので、
    そういえば、清涼飲料って原価かからないって聞いたことがある

    ということで、レッドブルをちょっと検索して見たら
    原価20円らしいです。
    中身はほとんど他のものと大差ないのに、
    なぜか300円近くでも売れている
    (僕は結構最近買ってたので物凄い量の空き缶が溜まっていますw)

    スポンサーとなって広告費をぶっこんでいるみたいですね。
    F1とかにも投資しているようで、
    F1といえば、タバコの会社もそういえば、広告費ぶっ込んで宣伝してるみたいです。
    もしかして、タバコも情報で勝負しているんでしょうか?

    吸ったことないので、よくわからないんですが。
    (でも肺吸引と口腔吸引に合ったタバコとか種類はあるみたいですね)

    タバコ、ビールなどの会社はマーケティングが上手だと聞いたことがあるので、
    もしかしたらそうなのかもしれません。

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