【トヨトミの野望】自動車業界の闇が暴かれてる取扱注意な経済小説

どうも、しょーへいです。

 

 

今回はトヨトミの野望という作品の感想的な書評を書いていきます。

 

 

僕はハゲタカとか半沢直樹みたいな作品が好きです。

ジャンルで言えば経済小説が1番近いですかね。

 

 

なんでかというと理由をあげれば様々なんですけど、

自分の知らない世界を知れて面白いというのが大きいです。

 

僕もブログ、メルマガなどで情報発信してる以上

ネタがたくさんあることに越したことはないですからね。

 

 

 

で、今回読んだ本は自動車業界の闇の部分についてたくさん学べました。

 

ちなみにこの本は発売当初

人気すぎてAmazonの在庫切れてました。

ひどい人は注文してから2週間も経ったとかあるそうです。

 

 

 

この本に最初出会ったのは書店で、

堂々と大量に陳列されててついつい目に入りました。

 

 

気になったので少しどんな本か見てみると、

なんと面白いことにトヨタの闇の部分を書いてるとのこと。

 

裏金とか会社内の派閥とか

世間にはなかなか知られないブラックな話です。

 

 

ただこういうことを書くのは実はとんでもなく難しい。

なぜならトヨタにとって都合の悪い情報は普通世の中に流れません。

 

 

トヨタってのは言わずと知れた大企業。

だから新聞やテレビなどのメディアの大スポンサーになってます。

 

もし大スポンサーにとって不利益な情報を流したら、

スポンサーがいなくなり当然その会社は仕事が出来なくなります。

 

 

つまりはメディアに圧力をかけることが簡単にできてしまうんです。

電通とかもそうですよね。

 

まぁそこら辺のリアルな話も本の中にあるので、

詳しくは見てください。

 

 

あとこの本の好きなところは

もともとトヨタの記者だった方が偽名で書いてるとこです。

 

裏を返せば本名では書けないことを本ではぶっちゃっけてるってことです。

もうこれだけで僕の好奇心はだいぶそそられました笑

 

 

フィクションなのでトヨトミ自動車と名前を変えてますが、

当然トヨタを暗示してます。

 

 

この本をフィクションにしたのは

その人はノンフィクションだと実名で書けないことがあるから

リアルに自動車業界のことを伝えるためにだそうです。

 

むしろフィクションの方が事実よりも

よりリアルに読者に届けられるということです。

 

 

実際この本を読んでみると、

え、これかなりエグい話してるけど実際あったのか???

と気になる場面ばかりです。

 

スキャンダル系の話が盛りだくさんですからね。

 

 

読んだ後にちょっと調べてみるとあれよあれよと

いろんな情報が出てきてかなり勉強になりました。

 

世の中に堂々と出てない情報は山ほどあるんだなと。

こういう楽しみ方を読んだ後もできるのは非常に満足度高いです。

 

ここからは僕が面白かったところを見出しごとにまとめていきます。

 

 

日本の大企業って新興宗教みたいだなぁ

 

まず前提としてこの本は最後まで

2つの対立構造について書かれています。

 

それは経営者にとって必要なのは

創業家の血なのか?はたまた経営者としての器なのか?

ということです。

 

 

 

僕は正直これを読む前はどんなに今まで

会社が世襲しながら家族経営してきたとしても

合理的ではないと思ってました。

 

 

確かに会社を作った1代目社長は優秀かも知れないけど、

その子供が優秀な経営者にまたなるとは限らないから

当然いつかはポンコツが社長になって、

すぐ会社が潰れるなんてこともあるわけですよ。

 

 

だったら能力主義で創業家の血とか関係なく、

会社で1番経営能力に長けてる人がやればいい。

そう思ったわけです。

 

 

しかし話はそう単純じゃあありません。

 

この本では今まで豊臣家がずーっと経営のトップだったけど、

突然前の社長が倒れてピンチヒッターで武田という男が

サラリーマン社長になります。

 

 

この武田という男は豊臣家よりも凄腕で結果的に低迷していたトヨトミ自動車を

復活させて史上最大の売り上げを記録するに至りました。

 

 

一見これだけを見ると武田の功績は華々しく見えますが、

実際武田は社内での発言力はあまり高くありません。

 

 

武田はよくこんなことを言ってます。

「俺は豊臣家の召使いに過ぎないんだ」

 

つまりは何をするにしても豊臣家の許可がある程度いるということです。

 

豊臣家に不都合なことをしたらすぐに社長を交代させられる。

そんな状況です。

 

実際に豊臣家の中では武田というなんの血もつながってない奴が

どうして社長やってるんだ?と気に食わない人がいたりします。

 

 

また武田という男は経理畑出身なので、

数字で考えてコストカットを徹底して効率化を図るスタイルです。

 

もちろん素晴らしい経営スタイルですが、

工場から働いてる人からしたら

あいつは数字しか見てなくて車のことがなんもわかってねぇ。

と、思われてしまうわけです。

 

 

このようにたとえ優秀な経営者でも

社内の結束力を集めるのはなかなかうまくいかないことがあるんです。

 

 

で、そういう時に必要になってくるのが豊臣家の発言力なんです。

これは言い換えてしまえばトヨトミ教という

宗教といっても過言ではありません。

 

 

社内の人はどんなことを言われてもまるで教祖様のお告げみたいに

トヨトミの人が言うなら間違いないと

圧倒的な信頼と忠誠心で死ぬ気でついてくるんです。

 

 

例えばプロメテウスというハイブリッドカーの新車を

もともと3年で発売開始する予定を武田は1年でやってくれと

社長として社員に要求します。

 

(ちなみにプロメテウスというのは現実世界で言うならプリウスのことです笑)

 

 

そしたら社内の人はイヤイヤそんなの無理っしょと

どう頑張ってもできない、3年でギリギリ間に合うかどうかくらいだ。

と言われてしまうのですが。

 

 

ただここでトヨトミの人がじゃあ2年でやってくれと命令したところ、

あっさり社内の人間はそれで納得してしまうんですよね。

 

 

あの人が言うならやるしかないと

人が変わったかのようになるわけです。

 

さっきまで3年でギリギリってめっちゃ抵抗してたのになんでやねん!

って僕は本読みながら普通に笑いました笑

 

ただそれがトヨトミ自動車という会社。

日本の大企業を暗示してるということです。

 

 

武田はこの出来事を踏まえてこんなことを言ってます。

「いざとなればトヨトミ家の旗に集結し、恐ろしいパワーを発揮して危機に立ち向かう。
これがトヨトミ自動車の強さの秘密だ。
仮にトヨトミ家の旗がなくなれば結束力の強さも半減だ。
あっというまに並みの自動車メーカーに転落だ。」

 

 

ちなみにネタバレですが今のプロメテウスのやり取りは

事前にトヨトミ家の人と打ち合わせしてやってます。

 

 

武田が1年でやると無理難題を言って悪役になる。

そしてみんながダメです無理です言ってる時に、

トヨトミ家がじゃあ2年でやろうというわけです。

 

 

これで社内の人間は期間が1年伸びて

トヨトミ家に感謝してトヨトミのメンツが立ちますし、

社員も必死にトヨトミのために仕事します。

 

 

武田は最初からこれを狙ってるというのが

さすがといえばさすがです。

ただトヨトミ家の召使いであるということには変わりないんですけどね。

 

 

 

葬式が好きすぎる豪腕な経営者武田のキャラの魅力

 

 

この武田という男。

とにかく破天荒、豪快、スケールがでかいです。

 

 

この武田という男は社長になる前から社内では歯に衣着せぬ物言いで

反抗的で会社では危険人物だと言われてますが、

仕事はめっちゃできます。

 

武田は経理の人で数字を扱うのが得意なのですが、

どのくらい得意かというと徹底的に分厚い四季報という本を読み込んで

上場企業全ての業績と現状を丸暗記してしまうほどの実力です。

 

 

僕も四季報読んだことありますが、

あれを丸暗記できたら東大なんて余裕しゃくしゃくで受かるレベルです。

 

要はかなり異常なレベルだということです。

 

 

だから武田の書いたレポートは誰が見ても

その会社の状況が一目でわかるくらい緻密で正確なものと言われたそうです。

 

あとは人脈創りに関しても武田から学ぶことは非常に多いです。

 

 

武田は葬式が大好きです。

あ、これは決して人の死を喜んでるわけではないですからね笑

 

 

葬式には親戚に限らずたくさんその人にお世話になった人が訪れます。

 

武田にとってはそれが狙い目だったんです。

 

武田はそこに訪れる人と交流を深めて人脈をたくさん作っていきリサーチして、

さらに仕事に必要な調査能力を高めていたりしたそうです。

 

 

あとはこの葬式にわざわざ武田は来てくれたのかと

周りから信頼されるのも大きいです。

 

その信頼がまた様々なネットワークへと

人脈を広げて自分の仕事に役立っていくということです。

 

これは面白い考え方だなと読んでて思いましたね。

僕も見習うべきところが非常に多いです。

 

 

ただ日本の会社というものは悲しいことに

必ずしも優秀な人を求めてはいません。

 

会社にとって都合のいい人間、

なんでもいうことを聞いてくれる人間が

日本の会社は大好きなんです。

 

 

武田は優秀すぎるが故に会社とよく揉めてたので、

フィリピンのマニラに飛ばされます。

 

出世コースはアメリカやヨーロッパが順当なので、

事実上の左遷です。

 

 

社内の同僚は

武田はもう終わったとみんないってたのですが

当の本人はフィリピンに行こうが腐らずに仕事を続けました。

 

武田は悲観的になることは全くなくて

「日本ではただの兵隊でもマニラでは大将になれる。

偉い人間ともサシで会えるし、こんな経験はなかなかできない」

 

とかなりポジティブに捉えていました。

 

このいかなる状況でも視点を変えてプラスに捉えるってのも

生きていく上ではめちゃくちゃ重要なスキルですよね。

 

 

ただ当時のフィリピンはマルノスという独裁者がトップに居座ってました。

とにかく独裁政権ということで政情は不安定。

 

そんな状態でも武田は現地で武装ゲリラと銃撃戦を繰り広げながらも、

毎晩フィリピンの人と酒を酌み交わし政府の重要人物や裏社会の人間とかと

人脈を築いてたとか。

 

最終的にはマルノスとも会っていて、

まぁフィリピンで武田を知らない奴はいない状態です。

 

 

さすがに破天荒すぎるだろとかオーバーだなと思いましたが、

いろいろ調べてみると案外そうでもなさそうです笑

 

で、たまたまフィリピンを訪れたトヨトミ家に

こいつは本物の実力者だと見込まれて、

左遷のどん底から社長にまで上り詰めてくわけです。

 

 

武田は経営者としても当時は保守的だったトヨトミを

大改革して一気に世界一の自動車メーカーへと押し上げました。

 

もっと話したいことはたくさんあるのですが、

ここでは最後に武田の経営者としての理念と日本に対しての考えを表す文があるので引用します。

 

「寝ても覚めても経営のことを考える。それが経営者の本来の姿です。

 

経営者になった以上、血ヘドを吐く覚悟で仕事に取り組まなければならない。
あまり自慢すべきことではないが、トヨトミの役員はよく病気で死ぬわけです。
過労からくるストレス、体調不良。役員の日常は苛酷のひと言です。

 

豊臣市という愛知県の田舎に本社をかまえ、
そこから東京、大阪、福岡、海外との間を行き来する。土日も関係ない。

最終の新幹線で名古屋に戻り、夜中の一時二時に帰宅しても、翌朝八時には本社で会議が始まる。わたしも海外に機中泊の日帰り出張はザラでした。

 

出張のない日は毎晩、パーティや接待で酒を酌み交わし、政財官界との人脈作りに励む。
ときには最新の極秘情報を取りに行くこともある。

こんな生活を年中やって心身を酷使したら、それは死なないほうがおかしいわな。

 

わたしは鈍感なのか、柔道の鍛錬が効いたのか、幸運にも生き残ったが、
現役中に死んでいった仲間は山ほどいますよ。

いい悪いは別にして、それがビジネスの世界。
社員とその家族を食わせていく者の責務です。

 

 

一銭一厘の単位で、血の滲むようなコスト削減をしている製造業に較べると、メガバンクは無軌道、無責任と言わざるを得ない。

 

不思議に思うのは、銀行も都内の一等地にあんな国賓を接待する迎賓館のような本店ビルをよく造ったな、ということ。

リストラの一環でいざビルを売ろうとしても売れません。借りてくれる企業もない。

天井はべらぼうに高いし、広すぎるし、床は全面大理石。せいぜい美術館、コンサートホール、超高級なフランス料理店くらいしかないでしょう。

わたしはそんな料理店、行ったこともないし、また行こうとも思わないけど(笑)。

 

ともかく、あんな無意味に豪華な建物で仕事をしている銀行に、コスト削減をしろ、
と言っても無駄でしょうな。彼らは理解できません。

 

 

私が総理になったら、まず大臣全員の辞表を預かる。
そして大臣は担当省庁の次官の辞表を、次官は各局長の辞表を預かり、不退転の覚悟で政治改革を進める。

国家財政が破綻の危機に直面してる日本の政治改革はいわば革命と同義です。
いわば革命と同義です。革命は命を捨ててやるもの。

 

それくらいの覚悟がなければ日本の総理はできません。 

 

 

彼らは、足りない分は高齢者とか家庭の女性、IT技術で補える、と主張するが、会社をやっている人間からみればそんなバカな話はない。

 

人には適材適所というものがあります。
なかでも日本の主力産業であるモノづくりは計画的に優れた人材を育成する必要がある。

国が率先して優秀な若い外国人を招き、集中的に教育を施す等、
大胆な移民政策をとらない限り、国力は衰退する一方です。

 

このままでは近い将来、日本は間違いなく終わります」

 

武田は終始このように魅力的なキャラクターなので、

オリジナルになってる人をもっと調べてみようと思います。

 

 

実際に起きてる問題とリンクしてるリアリティが面白い

 

 

この本の面白いところは最初にも話しましたが、

限りなくノンフィクションに近いところ。

 

だから実際に起きた出来事と関連づけられてるのが、

非常に臨場感があるし何より勉強になります。

 

例えば今でも記憶に新しいリーマンショック。

あの大不況の中で自動車業界には何が起きていたのか?

 

 

世界でも名だたるアメリカの自動車会社ビッグ3でも

ある会社は潰れて破綻したりして政府の公的資金に依存せざるを得ない状況だったり。

 

もっと最近で言えばドイツの会社では

排ガステストで不正をして一気に信用を失い失墜したり。

 

日本だって他人ごとではないです。

前代未聞の大規模リコールを引き起こす事態が発覚して、

アメリカの公聴会に呼ばれることになった出来事もありました。

 

 

ここら辺の話は面白かったですね。

僕は当時のことぼんやりとしか覚えてないので、

本を読みながらあの裏側ではこんな陰謀があったのかとか。

 

限りなくリアルに近いからこそ、

当時の出来事を追体験しやすいですし、

あとは小説形式なのですごく読みやすいです。

 

 

これがノンフィクションだったら

何月何日に何があったとか細かいデータとかが並べられて

読んでて堅苦しい思いをする羽目になるんでしょうけど。

 

 

小説形式だと新聞とかニュースとかと違って

会社の不祥事が全世界を席巻してた時トヨトミの社長や社員はどう思ってたのか?

不況でもなかなかトヨトミが破綻しないことにイライラしてたアメリカは?

経営の第一線から退いた前社長たちからは今のトヨトミをどうみるのか?

 

 

それぞれの立場や視点でストーリー形式の流れの中で語られるので、

自動車業界であの時何が起きてたか簡単に理解できます。

 

 

僕はぶっちゃけ何度も読んでます。

キャラも個性があって普通にわかりやすいし読んでて楽しいので。

 

 

だって今から昔の事を調べようと思っても

何から調べればいいかわからないし

調べても難しい単語とか出てきて萎えます。

 

 

でも小説を時間軸に沿って重要な部分だけ見直していけば非常に楽です。

それに事実とほとんど変わらないように作られてるので

知識を効率よく吸収することができます。

 

それで何か気になることがあれば小説を踏まえて

ネットとかで本格的に調べればさらに面白みが出てくるイメージです。

 

 

他にもこの記事では話したいことがたくさんあります。

 

中国戦略でどうして日本が遅れをとったのか?

ヨーロッパでイギリスとフランスをめぐる駆け引きとは?

F1参入の話、Googleの自動運転の話、燃料電池車と水素自動車の話。

 

 

もうきりがないです笑

1回読み終わるとまた読みかえして勉強したくなる本です。

それも読んでて楽しいからできることですね。

 

どんなにためになることが書かれても

つまらなかったら見る気が失せます。

 

 

読みながらこれって実在する話なのか??

と、ワクワクできる小説ってレアだと思うので

興味のある方はぜひ手にとって見る事をおすすめします。

 

 

というわけで今回は以上です。

ありがとうございました。

 

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